resp-kingofmed’s blog

地方大学呼吸器内科医の雑記帳

地方で医師をすることについて

ゴーンさんの一件は背後にとてつもなく大きな力が働いていて、

(下手したら国単位)

彼は嵌められたのではないかと勘ぐってしまう今日この頃。

 

自分もまだアラサーの年齢のため、

環境だけで言っても、自分の地元っていう思い入れがなければ

いわゆる田舎と都会だったら断然都会のほうがいいです。

自然景観の良さとか、のどかな感じよりは断然

インフラの質、情報の集まってくる量、公共サービス、娯楽の数 etc.…

のほうが大事ですよやっぱり。

 

医師としてのキャリアや経験から言っても

田舎は都会に症例数では劣るし、

得られる知識や技術に比べて時間的精神的ストレスが大きいし、

なかなか田舎で働くメリットってないんですよね。

 

前回の記事みたいにたくさん働かされるかもだし。

 

地元に帰ってきて思うのは、

もともと都会で働いていたけど、田舎に仕事場をうつしましたという人の

圧倒的な少なさ。(ほぼゼロ)

大概ベテランの方でセミリタイヤのような形で

急性期から慢性期療養型の病院へ変わってこられるパターンは

ときどき聞きますが(それでもかなり少ないけど)、

5~15年目ぐらいの一番バリバリ働ける時期に都会から田舎へ来る人なんて

まずいません。

そして、なぜかもともと田舎にいる医師はどうして人が集まらないかを

わかっていない節があります。

各地の田舎大学の医学生(失礼よね。ごめんなさい)とも話をする機会が

時々ありますが、学生も田舎で働くことと都会で働くことがどれだけ違うか

わかっていないようです。

両方で働かないと実感を伴ってわからないのは承知していますが、

田舎にいると都会の環境を知っている分、

卒後も田舎に残ろうと思っている(残ることが決まっている)学生を見ると

なんとなく心苦しいのです。

無知ゆえに選んでしまった選択なんじゃないかって。

ホントは都会に行ったほうが幸せだったんじゃないかって。

 

自分は家庭の事情と地元が好きすぎてUターンした口なのですが、

後輩にはなるべく自分が受けた修練と同じ質のものを

提供できるように努力しているつもりです。

なんか罪滅ぼしでもしてる感覚ですね。

 

地方で質の高い修練ができる

→優秀な医師が育つ

→提供できる医療の質が良くなる

→人材の流出がおさえられ、後進の育成にマンパワーを割ける

→質の高い修練ができる

みたいな感じでいいサイクルが回っていけばいいんですが。

現在そして当分の間、地方医療がおかれている状況は改善する兆しがないですが、

愚痴ってもしょうがないので、

できることから少しづつやってみます。

残業の上限年2000時間

やってくれましたね。

僕は今大変ご立腹です!

 

働き方改革のなんやかんやで厚生労働省が、

地域の中核病院とかの地域医療を担う医師について残業の上限を

「年2000時間」とする案をまとめたたそうです。

ちなみに一般の医療機関で働く医師の残業上限は「年960時間」

一般労働者の上限は「年720時間」です。

残業が年2000時間というと大体月160時間で、

平日は5時間残業して、土日8時間残業(というか休日出勤w)する感じ。

毎日22時終わりで、土日も働いて365日休みなし。

ということですね。

 

しかも、最初に読んだときは2000時間に目が行って、

こちらが目に入ってなかったんですが、

さらに驚くのは

「特例は2035年度末までとし、その後は一般の医師と同じく年960時間とする方針。」

というところ。

年960時間て過労死に相当する時間なんですけど。

16年後以降も、一般労働者の方の「年720時間」に近づける気は全くないと

言ってるようなもんやん…

 

つまり、

過労死しても上限に達していなければ、過労死として認定はされない可能性があるってことでしょうか。

もし亡くなっても医者が弱かったから死んだということにされるかもしれない…

 

厚労省本格的に地方の医者を殺しに来てるのか?

怖すぎ…

 

こんなん普通やったら地方より都市部で働きたいって思うやろ。

ただでさえ都市部に医師が流れて行ってる現状なのに

地方に医者誰も残らんで。

地方の医療崩壊するで。

いや冗談抜きで。

 

毎日22時終わりで、土日も働いて365日休みなし…

意外といけるんちゃう?

と思う方もいるかもしれないので補足しますが、

(さっき過労死相当て言うたばかりやけど)

医師も職場に拘束はされているけど、残業時間とは認定されない

サービス残業が存在します。

そして意外と多い…

業務間インターバル9時間なんて実現できないとおもうけど…

と思う程度はサービス残業してます。

 

確かに命を預かる責任あるお仕事というのは重々承知しておりますが、

当然、医者は全員がスーパーマンではありませんので

体が丈夫な人もいれば、弱い人もいるし、

若い人から高齢者のベテランまでおりますので

もう少し現場の状況を一般の方はじめ、特にお上の皆さんには

ぜひご理解いただきたいですね。

インフルエンザ

新年あけましたね。

今年もよい1年でありますように。

 

さて、インフルエンザシーズンに入ってしばらくですが

皆さん体調は崩されていませんか?

普段健康でお仕事されてて持病などお持ちでない方は

熱が出てもすぐには病院に行かず、2,3日は

お家でゆっくり休んで水分をたくさんとって様子を見てくださいね。

病院に行くとかからなくてもよかった病気をもらったり、

他の患者さんに病気をうつしたりしちゃうかもしれないので。

 

…というのは最近医療業界では耳にタコができるほど

繰り返し言われていることなんですが、

 

こないだの当直中の話です。

 

外来に発熱で中年男性が受診するとの連絡。

まー、インフルかなー。普段元気なら家で寝てたらいいのに…

と思っていたところ、来られた患者さんは

やっぱり普段元気な方で、

前日に正月の地域の集まりで大人数で飲み会をしていたとのこと。

…もう話の時点で暗雲。

これだけ言われてるけど田舎だとやっぱ居るんだな

というのがびっくりその1

 

インフルエンザの迅速検査をしたら

A型と判明。

やっぱり。

で、よくよく話を聞くとこの方看護師職員の旦那様だったらしい。

…いやいや医療職やのに病院受診させたんかい!

というのがびっくりその2

 

で、お薬出そうとしたら

夜勤の看護師さんからインフルエンザに対して処方できる

お薬の表を渡されまして。

そこには「ゾフルーザ」が…

いやそこ(採用)は早いんかい!

というのがびっくりその3

 

でも一番驚いた(びっくりその4)のは

その看護師さん(患者の奥様の方)が

「ゾフルーザ」を処方するようにしていしてきたこと!

 

もうびっくりと情けないのとがっかりで

あたまクラクラ…

 

こ…これが田舎クオリティか…

 

通常健康な方には抗インフルエンザ薬は不要であること、

治るまでの期間はタミフルとゾフルーザで大差ないこと、

ゾフルーザ投与により成人で10%ぐらい(小児で20%以上)

ウイルスに遺伝子変異が生じて、治るまでが長引いてしまうこと

患者さん本人を含め、ご家族はうがい手洗いをお願いしたいこと

を丁寧にご説明させていただきました。

 

ちなみにインフルエンザワクチン(予防注射)はおもに

「重症化を防ぐ」目的で作られていますので、

(インフルエンザ脳症とか肺炎とかね)

予防効果は70%ぐらいしかないそうです。

 

自分としては

原則としてインフルエンザで病院を受診するのは恥ずかしい

ぐらいに思っていたのですが、

まだまだ医療職の中ですらもご理解いただけていないことが

実感された出来事でした。

地道に説明を継続していかないといけませんね。

東京医科大の入試の話。前回の続き

そういえば女性受験者の減点はすごい問題になってましたけど、

浪人生が減点されるのはあんまり誰もなんも言わないですね。

みんな浪人生が減点されるのは比較的しょうがないと思っとんでしょうか。

 

で、前述の選考基準に関しては

「文句を言う/言われる筋合いはない」というのが結論ですが、

なんで女性が減点されるかって話。

これに関してもニュースを見た僕の感想は

「そりゃあね。気持ちはわかる。」

でした。

 

現役の医師としては女性より男性を選びたいのは当然と思います。

ただし、これに関してはそれでよいとは

まったく思ってません。

 

あくまでも、今の医療界のシステム(昔から続くシステム)では当然。

やむをえないという意味です。

 

まだまだ世間的にご理解いただけてないかもしれませんが、

お医者さんってすごく忙しいんですよ。

(当事者が言うのも何かはばかられますが・・・)

特に修行中の若手医師(だいたい10~15年目ぐらいまでを想定)が働く病院は

急性期病院で、忙しいことが多いんです。

 

そこでは医師の経験年数が同じ男女は大体同じ給料で働いています。

当然、同じ仕事量じゃないと男性医師は納得しません。

たいていの病院は主治医・担当医として入院患者さんを受け持ちます。

少なくても5人多ければ20人を超えるかもしれません。

毎日。本当に毎日(笑)、患者さんを診察します。

検査、手術などの処置、書類仕事、当直、

あと、研究に、後輩の指導、地区の勉強会や研究会への参加と発表

などです。

正直これだけでも女性にこれだけさせるのはと心配になります。

(暗黙の了解で少し業務量を男性より落とされていることも多いです。)

みなさん本当に女性と男性が日々同じ量の仕事こなせると思います?

 

多くのメディアにもあるように、修行中の期間に女性は妊娠・出産などの

ライフイベントがあることが多く、休暇をとることが多いです。

それは確かにそうなんですが、

それよりもっと問題生理の関連とか、育児の関連とかで、

不測の事態に見舞われ、急に休むことがあることです。

妊娠中だと同じ仕事量を日々こなすこともできないでしょう。

同額の給料は出続けるけど。。。

そして、離職の問題もあります。

すると、女性の休んでいる間や、前述の仕事のうちできなくなったことは

代わりに男性がしなくてななりません。

普段のデフォルトでも忙しいのに

分担するかもしれないとはいえ仕事が上乗せされるわけです。

で、

ところで逆はあるかというと、あんまりないんですよね。

少々の体調不良だと働きますし、不測の事態も起きにくい。

 

(休暇に関してはあらかじめ仕事の振り分けとか仕事が残らないように準備するのは

双方変わらないのでここでは問題としません。)

 

離職の問題なんですが、

たまにですけど、結婚相手として医者を選ぶためだけに医者になる人もいます。

(いるんですよ。ほんとに。)

戻ってくると思ってたのに戻ってこなかったというパターンは

出産や育児をする女性医師にはよくある話ですが、

男性ではあんまり聞いたことはありません。

上司としてもいろいろ教えて指導して育てていた部下が離職するのは

1回はしょうがないと思えたとしても、

当然、何回も繰り返すと嫌になるというのは普通の感情でしょう。

 

要するに、女性が男性と同じように働くのはそもそも無理があるということです。

 

じゃあ、女性医師をいっぱい増やして、女性同士でフォローしあうような

体制をとったらどうなんだ。と思いました?

正直、ある職場で2人で1人分の仕事を交代制でするなら、

まだ急に休まれる確率は男より高そうです。

職場2つ以上で3人以上で交代勤務なら給与体系が難しいでしょう。

それに、交代制だとキャリア形成も難しくなるのではないでしょうか。

指導する側としては男性だと1人でよかったのが、

女性だと複数人になるってことですし、

いつ休むかわからない人にどんどん仕事は降ってこないですよね。

男性よりよっぽど優秀な女性なら半分の仕事量で同様に医師として成長する

かもしれませんが、普通はこんなことしたら医師としての成長は遅れるはずです。

(男性医師と比較して釣り合うだけ成長せんとダメというのを前提としてます。)

 

 

 

現状として医療界って職業観に関しても昔の考えがはびこっており、

給与体系にしても「女性医師が働く」ということは想定されてないことがほとんど。

「1人の医師が働いて」給料がこれぐらいという考え方です。

医師には定年の考え方も緩いですので地方ではお爺ちゃん先生が

元気に仕事をしているとかよくあることで、

男は外で働いて女は専業主婦っていう考えがベースにあるんです。

多種多様な働き方ができるような環境なんてほとんどないんです。

さらにいえば、仕事量が少ないから/男性医師との差があるからといって

給料を減らそうとすると文句を言う女性医師がいたりするからもうカオス。

古いんですよ。いろいろと。業界が閉鎖的なのが原因と思いますが。

 

なので、

今の医療界のシステムでは女性よりも男性をより多く医師にしたいと思うのは当然。

そのシステムをどうしたら改善できるかは今のところ誰もわからない。

というのが結論です。

漠然と医師ももっといろんな働き方ができたらいいのになーとは思うものの、

それが叶うのは…いつになることやら。

例の医学部入試の件について

東京医大とかでいろいろ差をつけるような措置がされてたって話題になってますね。

 

 

個人的に言わせてもらえば

「どこもやっとるやろー。何をいまさら。」

です。

医学部だけじゃなく他の学部、

大学だけじゃなく高校や中学の入試でも

優遇は行われていると思いますよ。

今回のように男子や現役、OBが親である人に優遇するほかに、

地元かどうかでも優遇はされてると思いますよ。

 

この件に関して実際のところ、医学生や医師たちは

どういう意見が多いのかとても気になります。

 

僕としては日本の受験全てに適応される規則とかがあるのかないのか知らんけど、

そもそも「私立」であればその学校独自の基準で

合格者を選んでもなんら問題はないのではないか。

というのは思います。

 

不公平さに関しては、特に進学校から医学部を目指す人達はですが、

こういう不平等には慣れてると思ってました。あって当然というか。

当然、明文化はされてはいませんでしたが、

寄付金という名のお金を積んで入れるところや、

面接の持ち点100点が一浪するごとに20点引かれるという噂があったところ

(しかもこれは国立)もあることは、僕が受験生のときは

ほぼ周知の事実と言っていいものでした。

それでも表立ってクレームがつけられないのは、

ひとつはあくまでも大学が「選ぶ側」なので下手なことを言うと

不合格にされる可能性があるから。

証拠も掴みづらいでしょうし、そこまでするひともいないでしょう。

もうひとつは明文化されてなくても「対策」は立てられるからでしょう。

特に予備校は「合格させる」のが目的みたいなとこもあるから、

受験して合格した人、不合格だった人を分析するはずで、

明文化されてないことでも、何年かデータがそろえば

そこで違和感に気づきそうなものです。

ただ、年によって明文化されない選考基準が変わるとすると

それは少しかわいそうだと思いますが。

 

でも、進学校の中には分析が不十分なところもありそうだから

「現役」の「女子学生」は少し不利になるのか・・・?

とも思ったけど、

厳しいことを言わせてもらえば、

受験はただ勉強しただけではダメなところもあると思います。

「受かりやすい人、受かりにくい人」「そこはどういう大学か」などの

情報戦も制さないと受験では勝ち抜けません。「受験戦争」と言われるぐらいだから。

所属する学校や予備校の持っているデータ量・分析力も受験生の実力のうち。

ということです。

 

フェアじゃないと思います?

僕はそもそも浪人のシステムがある時点で受験に平等性は確実にないと思いますよ。

では公平性は?

都会・田舎、進学校・公立高校、特進クラス・普通科、現役・浪人

いろんな人がいる上で、「同じルールで試験を受ける」という点では公平でしょう。

ただ、そのルールをきちんと把握しているかどうかは

個々の情報収集力に任されているという補足はつきますが。

 

ではなぜ、「女子学生」や「浪人生」が相対的に減点されてしまうのか。

 

女子学生に関しては現在の医療事情がからみ、長くなるので後日。

 

浪人生は理屈上、現役より1~数年多く勉強ができるわけですよね。

相対的に勉強時間、または受験への準備期間が長い(ことが多い)ということです。

これだけでも少し現役に優遇してあげてもよさそうですが、

もっと言うと、大学は当然、「より優秀な人」が欲しいわけです。

またそもそもだけど、現役で合格できない人は(だいたい)

勉強せんかったか、能力が足りない人ということになります。

そしたら

浪人したらよっぽど頑張らんと自分の優秀さは証明出来ない気がしませんか?

 

確かに例外はありますよ。

でも、少数派はそれなりに自分が少数派・例外であることや

厳しい戦いであることは自覚すべきだと思います。

だって、システムとして受験は弱者を救うようには出来ていないから。

繰り返しになりますが、受験は戦争だし、平等性はないんです。

 

 

 

受験って本当に厳しい戦いです。

実際僕も2浪しています。

もうあんな思いをするのは絶対に嫌だと10数年たった今でも思います。

 

書評:僕たちはどう伝えるか

 もうレギュラー番組としては終わってしまいましたが、

しくじり先生」のときからこの人のプレゼン能力には感心していました。

というより、好きです。NAKATAのプレゼン。

 

常々、僕たちの業界、医学界のプレゼンに関して不満を感じていて、

まーようするに、全然オモロないわけです。

事実や考察の羅列で、プレゼンテーターの体温の感じられないスライドは

みてて退屈なわけです。

そこで、なにを伝えるかよりもどう伝えるかが大切なことや、

プレゼンは勝負がつく格闘技であり、始まる前に勝負がついているものって考えとか、

政治家のくだりには納得。

 

どうやって思い通りの反応を相手から引き出すか、

右耳を通って左耳に抜けずに心に届けるにはどうしたらいいか

そこにはプレゼンの時のしゃべり方だけじゃなく、

そこまでの準備の仕方、本番での振る舞いや、資料の使い方、

「本当に伝えたいことをいかに伝えるか」

いや、感覚としては「いかに捻じ込むか」ぐらいの印象。

やっぱり聞く側としてもプレゼンはおもしろくて聞きやすいほうがいいし、

する側としても伝えたいことを分かってもらった上で、

楽しんでもらえたら最高だと思います。

 

オモローなプレゼン作成これからも頑張ります!

 

僕たちはどう伝えるか (単行本)

僕たちはどう伝えるか (単行本)

 

 

めまいは症状だけじゃわからない

めまいってよくわからないですよね。

 

ふわふわ浮いているよう

景色がくるくる回る、ぐらぐら揺れる

ひゅーっと落ちていくよう

いろんな症状を患者さんは訴えますけどそれだけじゃ原因はわからないんです。

 

器質性めまいの分類は

・前庭性

・非前庭性          

にわかれます。

 

前庭性はさらに中枢性と末梢性

非前庭性は心因性、偏頭痛関連性、

ベンゾジアゼピン長期服用者、起立性低血圧などさまざま。

あと、前失神のルールアウトも忘れずに。

 

ポイントはまずどうにかしてでも立って歩けるかどうかです。危険な中枢性だとまず歩けないです。6人/100人ぐらいが中枢性です。

 

あと頻度からBPPVの問診として

持続時間、体位による変化、潜時を訊きます。

長くても2分以内で、頭の向きを変えると数秒後にめまいがおきていれば

かなりBPPVが怪しいでしょう。

 

そこではっきりしない場合は

HINTS-plusをしらべます。

・Head inpulse test

・Nystagmus (眼振)

・Test of Skew(眼軸の斜偏移)

・難聴

これらがすべてない場合は中枢性は否定できます。

MRIよりも感度が上ってところが一番のポイントです。

(両方眼振あるけど病側の眼振だけ大きいのをアレキサンダーの法則っていうらしい。どうでもいいかもしれんけど。) 

 

でもこのHead inpulse test。

さらっと書いてあるけど、

身体所見としてちゃんととるのはかなり慣れが必要と思います。

なかなかちゃんととれないと思うし、

しかもまっすぐ向いててもらって左右どっちかに向けるのか、

左右向いてるのを正面に戻すのか書いてあるものによってバラバラで、

結局どっちやねんって感じです。

でも、書いてるものの数としては正面に戻すほうが多い印象です。

 

ちなみに、よくめまいを起こして受診するひとで メニエール病の診断を受けている

ひとをよく見かける気がしますが、メニエール病は稀な疾患とうことは忘れちゃだめ

です(16人/10万人ぐらい)。よくは出会わないです。

症状は繰り返して出現して、だんだん難聴が進んでいきます。

 

あと多いのは起立性低血圧ですね。

起立性低血圧のめまいは有症状時sBP100mmHg未満が多いです。

起き上がりや座位で

・sBP20以上低下+dBP10以上低下

・HR20以上あがる+症状の訴えがある

で疑わしいです。

原因としては

高齢者では降圧薬長期服用者のに注意です。

他に自律神経障害や消化管出血、薬剤性(αブロッカー)など。

出血が原因とかだと下手すると命にかかわるので気を付けてください。

 

ちなみにですが、降圧薬3剤飲んで効いてない人は

睡眠時無呼吸症候群を疑ってくださいね。

 

対応としては

BPPVとかは Dicks-whole-pipeで眼振とか出るか検査し、

Eply法をしてみます。

大体7割くらいなおります。(ただし、再発4割。繰り返しやります。)

ダメならrolling法で。

 

治療や対症療法の投薬のメニューとしては

内耳性;7%炭酸水素ナトリウム40mlを3号液200ccにといて点滴

    ±ジアゼパム5−10mg筋注

  予防;ベタヒスチンメシル酸塩、ATP腸溶錠、ジフェニドール塩酸塩内服

 

起立性低血圧;ミトドリン塩酸塩、アメジニウムメチル硫酸塩、ドロキシドパ内服

が選択肢に上がりますかね。

 

漢方だったら苓桂朮甘湯、五苓散、沢しゃ湯、半夏白朮麻湯が使えます。

 

めまいの対応って奥が深いし難しいですけど、

明日からめまいに対応するときの重圧が軽くなってるとうれしいです。

 

 

以下ざっくりとめまいの原因の情報メモをのせます。

 

 中枢性眼振

注視性眼振あり

 

BPPV(良性発作性頭位めまい症)

体位誘発性

持続時間

潜時(about 3s)

持続は1分長くても2分

 

偏頭痛関連性めまい

小児の頃は周期性嘔吐症で病院を受診する

10代から頭痛がちらほらでてくる。多いのは30代♀。痛みもピークへ

50代頃から症状も軽快してくる

前兆は視覚変化、しびれ、構音障害、めまい、allodynia(皮膚接触で不快感)。

頭痛、嘔吐症状は同時には来ず。片方の主訴で来て、

既往とかで疑うしかないパターン

遊園地のコーヒーカップが超苦手だったりする。

 

 恐怖性姿勢めまい

fobic postual vertigo

 

・鎖骨下動脈盗血症候群→左鎖骨上窩血管雑音

 ・頭痛、めまい、顔面神経麻痺を伴う真珠腫性中耳炎は

緊急OPE適応だから十分にに注意!

SVC synd

頭痛、めまい、呼吸困難が起こってくる。急に出ることもあり。