resp-kingofmed’s blog

地方大学呼吸器内科医の雑記帳

東京医科大の入試の話。前回の続き

そういえば女性受験者の減点はすごい問題になってましたけど、

浪人生が減点されるのはあんまり誰もなんも言わないですね。

みんな浪人生が減点されるのは比較的しょうがないと思っとんでしょうか。

 

で、前述の選考基準に関しては

「文句を言う/言われる筋合いはない」というのが結論ですが、

なんで女性が減点されるかって話。

これに関してもニュースを見た僕の感想は

「そりゃあね。気持ちはわかる。」

でした。

 

現役の医師としては女性より男性を選びたいのは当然と思います。

ただし、これに関してはそれでよいとは

まったく思ってません。

 

あくまでも、今の医療界のシステム(昔から続くシステム)では当然。

やむをえないという意味です。

 

まだまだ世間的にご理解いただけてないかもしれませんが、

お医者さんってすごく忙しいんですよ。

(当事者が言うのも何かはばかられますが・・・)

特に修行中の若手医師(だいたい10~15年目ぐらいまでを想定)が働く病院は

急性期病院で、忙しいことが多いんです。

 

そこでは医師の経験年数が同じ男女は大体同じ給料で働いています。

当然、同じ仕事量じゃないと男性医師は納得しません。

たいていの病院は主治医・担当医として入院患者さんを受け持ちます。

少なくても5人多ければ20人を超えるかもしれません。

毎日。本当に毎日(笑)、患者さんを診察します。

検査、手術などの処置、書類仕事、当直、

あと、研究に、後輩の指導、地区の勉強会や研究会への参加と発表

などです。

正直これだけでも女性にこれだけさせるのはと心配になります。

(暗黙の了解で少し業務量を男性より落とされていることも多いです。)

みなさん本当に女性と男性が日々同じ量の仕事こなせると思います?

 

多くのメディアにもあるように、修行中の期間に女性は妊娠・出産などの

ライフイベントがあることが多く、休暇をとることが多いです。

それは確かにそうなんですが、

それよりもっと問題生理の関連とか、育児の関連とかで、

不測の事態に見舞われ、急に休むことがあることです。

妊娠中だと同じ仕事量を日々こなすこともできないでしょう。

同額の給料は出続けるけど。。。

そして、離職の問題もあります。

すると、女性の休んでいる間や、前述の仕事のうちできなくなったことは

代わりに男性がしなくてななりません。

普段のデフォルトでも忙しいのに

分担するかもしれないとはいえ仕事が上乗せされるわけです。

で、

ところで逆はあるかというと、あんまりないんですよね。

少々の体調不良だと働きますし、不測の事態も起きにくい。

 

(休暇に関してはあらかじめ仕事の振り分けとか仕事が残らないように準備するのは

双方変わらないのでここでは問題としません。)

 

離職の問題なんですが、

たまにですけど、結婚相手として医者を選ぶためだけに医者になる人もいます。

(いるんですよ。ほんとに。)

戻ってくると思ってたのに戻ってこなかったというパターンは

出産や育児をする女性医師にはよくある話ですが、

男性ではあんまり聞いたことはありません。

上司としてもいろいろ教えて指導して育てていた部下が離職するのは

1回はしょうがないと思えたとしても、

当然、何回も繰り返すと嫌になるというのは普通の感情でしょう。

 

要するに、女性が男性と同じように働くのはそもそも無理があるということです。

 

じゃあ、女性医師をいっぱい増やして、女性同士でフォローしあうような

体制をとったらどうなんだ。と思いました?

正直、ある職場で2人で1人分の仕事を交代制でするなら、

まだ急に休まれる確率は男より高そうです。

職場2つ以上で3人以上で交代勤務なら給与体系が難しいでしょう。

それに、交代制だとキャリア形成も難しくなるのではないでしょうか。

指導する側としては男性だと1人でよかったのが、

女性だと複数人になるってことですし、

いつ休むかわからない人にどんどん仕事は降ってこないですよね。

男性よりよっぽど優秀な女性なら半分の仕事量で同様に医師として成長する

かもしれませんが、普通はこんなことしたら医師としての成長は遅れるはずです。

(男性医師と比較して釣り合うだけ成長せんとダメというのを前提としてます。)

 

 

 

現状として医療界って職業観に関しても昔の考えがはびこっており、

給与体系にしても「女性医師が働く」ということは想定されてないことがほとんど。

「1人の医師が働いて」給料がこれぐらいという考え方です。

医師には定年の考え方も緩いですので地方ではお爺ちゃん先生が

元気に仕事をしているとかよくあることで、

男は外で働いて女は専業主婦っていう考えがベースにあるんです。

多種多様な働き方ができるような環境なんてほとんどないんです。

さらにいえば、仕事量が少ないから/男性医師との差があるからといって

給料を減らそうとすると文句を言う女性医師がいたりするからもうカオス。

古いんですよ。いろいろと。業界が閉鎖的なのが原因と思いますが。

 

なので、

今の医療界のシステムでは女性よりも男性をより多く医師にしたいと思うのは当然。

そのシステムをどうしたら改善できるかは今のところ誰もわからない。

というのが結論です。

漠然と医師ももっといろんな働き方ができたらいいのになーとは思うものの、

それが叶うのは…いつになることやら。